住宅購入前に要チェック!オーバーローンの注意点とリスクとは?

住宅購入前に要チェック!オーバーローンの注意点とリスクとは?

マイホームの購入は、多くの方にとって人生で最も大きな買い物のひとつです。
購入資金の多くは、住宅ローンで賄うことになりますが、「オーバーローン」という言葉を耳にしたことはありませんか。
オーバーローンとは、本来の物件価格以上の金額をローンで借り入れることです。
一見すると、初期費用を抑えられて魅力的に感じるかもしれませんが、その裏には見落とせないリスクが潜んでいます。
今回は、オーバーローンの仕組みと注意点、そして後悔しないために知っておきたいリスクについて解説します。

住宅購入前に知っておきたい!オーバーローンとは

住宅購入前に知っておきたい!オーバーローンとは

不動産購入におけるオーバーローンとは、住宅ローンで借りる金額が物件の価格を上回ることです。
たとえば、物件価格が3,000万円であるにもかかわらず、諸費用などを含めて3,300万円を借り入れるケースなどが該当します。
オーバーローンは、自己資金が少ない方にとって魅力的な反面、返済の負担増や将来的な売却時に残債が物件価格を上回るリスクもあるため、慎重な判断が必要です。

不動産購入時には諸費用がかかる

不動産を購入する際には、物件代金のほかに以下のような諸費用がかかります。

●火災保険料
●印紙代
●仲介手数料
●保証料
●登記手数料など


諸費用の目安としては、新築住宅の場合で物件価格の約3~7%、中古住宅では6~10%ほどが一般的です。
たとえば、3,000万円の新築一戸建てを購入する場合、諸費用としておおよそ90万〜210万円程度が必要になります。
とくに、住宅ローンを組む際は、保証料や手数料といった費用に差が出るため、金利だけでなく、こうした諸費用も含めてトータルコストを把握しておくことが大切です。

フルローンとの違いは?

オーバーローンと混同されやすいものに、「フルローン」があります。
どちらも住宅購入時に自己資金を使わずに済むローンの形ですが、借りる範囲に違いがあります。
オーバーローンは、物件価格にくわえて、登記費用や仲介手数料などの諸費用も含めて借りる方法です。
一方で、フルローンは、物件価格の全額を借りる方法のことをいい、諸費用は自己負担となります。
つまり、フルローンは物件代だけ、オーバーローンは物件代にくわえて、諸費用までをカバーする点に違いがあります。

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オーバーローンで住宅購入をする際の注意点

オーバーローンで住宅購入をする際の注意点

諸費用の準備が難しい方にとって、オーバーローンは魅力的な選択肢のひとつです。
しかし、便利さの反面、注意すべき点もあります。

注意点1:債務超過になる可能性がある

マイホームは、長く住むことを前提に購入する方が大半ですが、転勤や離婚、家族構成の変化など、予期せぬ事情で手放さなければならないケースもあります。
オーバーローンで住宅を購入した場合、物件の売却価格よりも住宅ローンの残債が多くなる「債務超過」に陥りやすく、売却が思うように進まない可能性があります。
住宅ローンを組んで購入した不動産には、金融機関によって抵当権が設定され、ローンを完済して抵当権を抹消しないと不動産を売却することができません。
もし、売却代金だけでローンを完済できないようであれば、不足分を自己資金で賄う必要があり、残債が多ければ多いほど負担も大きくなります。
オーバーローンを検討する際は、ライフプランの変化も見据えたうえで、住宅ローンの借入額や返済計画を立てることが大切です。

注意点2:金利が高くなるケースがある

オーバーローンで不動産を購入する場合、金融機関によっては金利が高くなる可能性があります。
これは、物件価格以外の諸費用分が別枠で「諸費用ローン」として扱われるケースがあるためです。
住宅ローンは、比較的低金利で提供されることが多い一方、諸費用ローンは一般的に金利が高めに設定されています。
金利が高ければ高いほど、月々の返済額が増えてしまうため、借入条件をよく確認しておくことが大切です。

注意点3:支払い総額が増える

オーバーローンでは、本来現金で支払うべき諸費用も含めて借入するため、総返済額が増える点に注意が必要です。
たとえば、住宅価格4,000万円・諸費用250万円・金利1%・返済期間35年という条件で比べてみましょう。

●オーバーローンに場合:総返済額 約5,038万7,792円
●諸費用を自己資金で支払った場合:総返済額 約4,742万3,753円


支払い総額が増えると、毎月の返済負担も重くなるため、状況によっては家計を圧迫してしまう可能性があります。
住宅ローンは、数十年にわたる長期の返済が続くため、その途中で収入の変動やライフイベントによる支出増加など、予測できない事態が起こることも考慮しなければなりません。
返済が困難になり、最終的に売却を余儀なくされる事態を避けるためにも、無理せずに支払いが続けられるかどうか、入念にシミュレーションをすることが大切です。

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オーバーローンで住宅購入をするリスクとは?

オーバーローンで住宅購入をするリスクとは?

オーバーローンで住宅を購入する場合、売却できないリスクと財産分与時のリスクも知っておかなければなりません。
後悔しないためにも、注意点にくわえてリスクを知った上で、オーバーローンで借り入れするかどうかを判断しましょう。

不動産を売却できないリスク

前章でもご説明したように、オーバーローンで購入した物件は債務超過のリスクを抱えることになります。
通常、物件価格に見合った額の融資を受ける場合、ローン残高は物件価格を上回ることは少なく、万が一返済が困難になったとしても、住宅を売却することでローンを完済できる可能性が高いです。
しかし、オーバーローンの場合、物件の価格よりもローン残高が大きくなるため、売却してもローンを完済できないケースがあります。
この場合、売却時に不足する金額を自己資金で補う必要がありますが、その資金を準備できなければ、住宅を売却することはできません。
しかし、その間も毎月の住宅ローンの返済は続くため、家計に大きな負担を与え、滞納が続けば金融機関からの強制執行や競売にかけられるリスクもあります。
売却できないという事態は、ただ単に家を手放せないだけでなく、家計を圧迫し、最終的に最も望ましくない結果を招く可能性があるということです。

財産分与時のリスク

オーバーローンによって売却できないリスクは、離婚時の財産分与にも深刻な影響を与えることがあります。
一般的に、離婚時の財産分与では、物件を売却して得た資金で住宅ローンを完済し、その残りを妻と夫で分ける形が取られます。
しかし、オーバーローンの場合、物件を売却してもローン残高を完済することができないため、不足分を現金で補わなければなりません。
売却できないとなると、妻と夫のどちらかが住み続けるという手段を選択する方もいますが、ここでもさまざまな問題が発生します。
たとえば、住宅ローンの契約者が夫で妻が住み続ける場合、夫の支払いが滞ると住宅が差し押さえられるリスクがあります。
ペアローンを組んでいる場合は、住む側の名義に変更することが賢明ですが、住宅ローンの名義変更は簡単には行えません。
これらのリスクを十分に理解したうえで、オーバーローンで不動産を購入するかどうか慎重に判断することが大切です。

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まとめ

オーバーローンとは、物件価格を超える金額を住宅ローンで借り入れる方法です。
自己資金が不足している場合に魅力的な選択肢ですが、債務超過に陥る可能性や売却が困難になるリスクを伴います。
住宅ローンの返済は、何十年と続くものなので、返済計画をしっかりと立てて、将来のライフイベントに備えることが重要です。
オーバーローンで不動産を購入するかどうかは、リスクがあることを十分に理解した上で慎重に検討しましょう。

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