土地売却で使える税金控除の種類とは?損失が出たときの控除や注意点を解説
土地だけを売却する場合でも、売却益(譲渡益)や損失に適用される特例が存在します。
しかし、細かな適用要件が設定されており、どのように判断すれば良いか悩むケースも少なくありません。
そこで今回は、土地を売る前に押さえておきたい税金控除や特例の概要にくわえ、損失が発生した場合に利用できる制度や注意点について解説します。
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土地売却で使える税金控除と特例の種類とは?
土地を売却して利益が出ると、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかる可能性があります。
税金を抑えられる控除や特例は以下の3種類です。
①マイホームの3,000万円特別控除
土地を売却した際に、その土地が居住用財産として認められる場合は、譲渡所得から最大3,000万円までを差し引ける「3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。
たとえば、買ったときの価格(取得費)や諸経費などを差し引いた後の譲渡所得が3,000万円以下なら、課税対象額はゼロになり、大幅に節税が可能です。
ただし、主に以下のような条件があります。
●自身が住んでいた住宅や敷地であること
●更地にしたら取り壊しから1年以内に土地譲渡契約を締結する
●住まなくなってから3年経過する年の12月31日までに売却していること
これらの要件を満たすと、家計への負担を軽減できるため、まずは自身が3,000万円特別控除の対象になるかを確認しましょう。
②軽減税率の特例
取り壊した家屋が1月1日時点で所有期間10年を超えている場合には、譲渡所得に対する税率が軽減される特例が適用されます。
通常の不動産譲渡では、所有期間が5年以下の場合は39.63%、5年を超えると20.315%という税率がかかりますが、所有期間が10年を超える場合には、下記のようにさらに軽減されます。
●譲渡所得が6,000万円以下の部分: 14.21%
●譲渡所得が6,000万円を超える部分: 20.315%
このように、所有期間が10年を境に大きく税率が下がるため、結果として税金の負担を大幅に抑えることが可能です。
③相続空き家の3,000万円特別控除
売却する土地に適用される3,000万円の特別控除には、もう1種類存在します。
それが、故人が居住していた空き家を解体して土地を売却する際に適用される「相続空き家の3,000万円特別控除」です。
相続空き家の3,000万円特別控除の特例を利用するためには、主に以下の条件を満たす必要があります。
●故人が自宅として使用していた家屋であること
●相続開始から3年を経過する年の年末までに売却すること
●相続から売却までの期間、事業・賃貸・居住用に使用していないこと
これらの条件を満たすと、譲渡所得の計算上、3,000万円を控除できるため、譲渡所得税の負担を大幅に軽減できます。
相続した空き家を解体して土地を売却する場合は、ぜひ検討してみましょう。
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土地の売却で損失が出たときの税金控除や特例とは?
土地を売却した際、購入時よりも安い価格でしか売れず損失が出ることがあります。
譲渡所得(売却利益)がある場合に課税対象となりますが、マイナスの場合、課税対象が発生しないので「税金面でのメリットはない」と思われがちです。
しかし、一定の要件を満たすと、譲渡所得税を減らすことができる特例や控除があるのです。
①特定のマイホームの譲渡損失に対する損益通算および繰越控除
マイホームを住宅ローン残債付きで売却し、損失(譲渡損)が生じた場合、ほかの給与所得や事業所得などと損益通算できる特例があります。
さらに、その年に通算しきれなかった損失は、翌年以降最長3年間にわたって繰り越すことも可能です。
具体例
●購入価格:5,000万円
●売却価格:3,000万円
●住宅ローン残高:3,500万円
●損失:2,000万円(購入価格と売却価格の差)
上記のケースでは、住宅ローンがまだ残っており、売却時に2,000万円の損失が発生しているため、本特例を適用できます。
損失の2,000万円分は、売却した年の所得と損益通算できるだけでなく、控除しきれなかった場合には3年まで繰り越して控除が可能になります。
ただし、特例を受けるには、売却する年の1月1日時点でマイホームの所有期間が5年を超えているなど、いくつかの要件を満たす必要があるため、事前に条件を確認しておきましょう。
②マイホームを買い換えた場合の譲渡損失に対する損益通算および繰越控除
現在住んでいるマイホームを売却して新たなマイホームを購入した際、売却によって損失(譲渡損)が生じた場合に利用できる特例です。
たとえば、4,000万円で購入したマイホームを3,000万円で売却した場合、1,000万円の損失を他の所得と損益通算できます。
また、その年に通算しきれない損失については、翌年以降最長3年間にわたって繰り越し控除が可能です。
ただし、売却するマイホームと新たに購入するマイホーム双方について一定の条件を満たす必要があります。
新たな住居に関しては、床面積が50㎡以上であることなどが主な要件となります。
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土地売却の際の税金控除の注意点とは?
税金控除をスムーズに活用するために押さえておきたい注意点を解説します。
注意点①確定申告をしっかりおこなう
まず大前提として、どのような税金控除や特例を利用する場合でも、確定申告が必要です。
土地を売却して所得(譲渡所得)が生じた場合、サラリーマンなどの給与所得が中心の方であっても、通常の年末調整だけでは対応できません。
とくに、「3,000万円特別控除」を適用する際は、居住用財産として認められるための書類や、購入時・売却時の諸経費を証明する領収書などを揃える必要があります。
また、売却による損失が出た場合でも、損失を損益通算や繰越控除で活用したいなら、確定申告を欠かさずおこないましょう。
書類の不備や提出の遅れがあると、控除を受けられなくなる恐れもあるため、早めに必要書類を整理し、申告時期を逃さないように注意してください。
注意点②特例の併用
土地売却時の税制優遇には、併用が可能なものと不可能なものがあります。
たとえば、「3,000万円特別控除」と「軽減税率の特例」は併用できますが、「3,000万円特別控除」と「買換え特例」は基本的に同時適用ができないといったように、特例ごとに併用可否が細かく定められています。
また、損失が出たケースの特例でも、複数の優遇制度を同時に使える場合とそうでない場合があるため、最新の情報を確認しましょう。
税法は改正されることがあり、インターネットの情報も古いまま残っている場合があります。
税理士など専門家に相談し、ご自身のケースでもっとも有利となる制度を見極めることが大切です。
注意点③要件を丁寧に確認し誤申告を防ぐ
特例の適用要件は細かく、たとえば売主と買主の関係性や、住宅ローンの残高、居住実態、土地・建物の所有期間など、さまざまな条件をクリアしているかどうかがポイントとなります。
1つでも要件を満たさないと適用が認められず、本来得られるはずだった優遇を受けられなくなる可能性があります。
また、誤った申告をしてしまうと、その後の修正申告や追加の支払いで手間や費用がかかることもあるため、最初の段階でしっかりと準備をおこないましょう。
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まとめ
土地の売却で適用できる税金控除や特例は、マイホームの3,000万円特別控除、軽減税率の特例、相続空き家の3,000万円特別控除の3種類です。
損失の場合は、「特定のマイホームの譲渡損失に対する損益通算および繰越控除」や「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失に対する損益通算および繰越控除」があります。
ただし、確定申告や特例の併用、適用要件に注意しましょう。
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