不動産売却における注意点は?売却方法の違いや離婚・相続での売却を解説

不動産売却における注意点は?売却方法の違いや離婚・相続での売却を解説

不動産を売却する場合、いくつか注意しておきたいポイントがあります。
初めての売却、やむを得ない事情による売却など、ケースによって気をつけるポイントが異なるため注意が必要です。
そこで今回は、不動産の売却方法の違いと注意点、離婚による不動産売却の注意点、相続した不動産を売却する場合の注意点を解説します。

不動産売却の注意点①仲介と買取の違いを把握する

不動産売却の注意点①仲介と買取の違いを把握する

不動産を売却する場合、売却方法にはいくつかの方法があります。

買主が違う

仲介とは、不動産会社にサポートを依頼したうえで、一般から広く買主を探す売却方法です。
仲介において、不動産会社とは媒介契約を結ぶのみで、実際の買主はマイホームなどを探している一般の方となります。
一方の買取とは、一般から買主を探す方法とは違い、不動産会社に直接不動産を売り渡す売却方法です。
買い取った不動産会社は、リフォームなどをおこなったうえで一般に向けて再販しますが、買取における買主は不動産会社となります。

売却の早さの違い

不動産会社の仲介で不動産を売却する場合、売り出してから物件を引き渡すまでにかかる期間は、6か月程度です。
売り出してから買主が見つかり契約を結ぶまでが3か月、契約後に住宅ローンの本審査がとおり物件を引き渡すまでが3か月程度となります。
ただし、不利な立地や需要の低い物件の場合には、目安となる3か月を経過しても買主があらわれないことは注意点です。
一方で、不動産会社が買主となる買取を選択した場合、1週間から1か月ほどで売却が完了します。
買取では、売主があらかじめ不動産会社と決まっているうえ、住宅ローンの本審査通過などを待つ必要がないことから、不動産の資金化が早く進むことが特徴です。
買取は内覧対応が不要となることも、仲介との違いです。

売却価格の違い

不動産会社の仲介で不動産を売却した場合、相場価格と同等の金額で売却できます。
もちろん、立地・築年数・間取りなど、条件ごとに実際の取引価格に差が生まれますが、買取と比較して有利に売却できます。
不動産会社が直接の買主となる買取は、仲介より2~4割安値での取り引きになるのが一般的です。
これは、買取がリフォーム後の再販を前提としていることに理由があります。
不動産会社は、リフォームしてから次の買主を探しますが、利益を出すために、リフォーム費用分を差し引いた金額で買い取るためです。

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不動産売却の注意点②離婚のトラブルを避ける

不動産売却の注意点②離婚のトラブルを避ける

不動産の売却がおこなわれやすいタイミングとして、離婚した場合が挙げられます。
離婚時の不動産売却には、どのような注意点があるのか、内容を見てみましょう。

共有名義の不動産

不動産を売却できるのは、不動産の所有権を持つ名義人です。
夫婦どちらか片方が所有権を持っている不動産であれば、売却するかどうかでトラブルになることはほとんどありません。
しかし、夫婦両方が資金を出し合って購入した不動産は、共有名義となっていることが注意点です。
共有名義の不動産を売却するには、名義人全員の同意が必要となります。
夫婦両方の意見が一致していれば問題ありませんが、どちらかが売却に反対していると、売却が困難になるでしょう。
離婚時に不動産を売却するにあたり、話し合いが進まない場合には、弁護士などに調整を依頼するのがおすすめです。

売却代金の分配方法

離婚で問題になりやすいのは、不動産を含む財産分与についてです。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が築いた財産について、半分ずつ分けることを意味します。
預貯金など、額面がわかる資産については財産分与しやすいものの、不動産など価値の分かりにくいものは財産分与しにくいことが特徴です。
離婚で不動産の売却代金を財産分与の対象とする場合は、何割ずつを分配するか書面に残しておくと良いでしょう。
また、財産分与は不動産の売却代金だけでなく、残った住宅ローンなどの負債が含まれることが注意点です。

離婚後に家に住みたい場合

離婚時には不動産を売却して現金化する以外に、いくつかの対処方法があります。
不動産を売却した場合、財産分与をおこなってしまえば、その後のトラブルが発生しにくいことがメリットです。
ただし、不動産を売却してしまうと、住み慣れたマイホームを手放さなくてはならなくなることはデメリットです。
離婚後に夫婦どちらかが同じ家に住み続けたいと考える場合、家を出る方へ現金または現金に相当する財産を渡す必要があります。
場合によっては、多額の預貯金が必要になりますので、スムーズに財産分与が進まない可能性があることが注意点です。
また、住宅ローンの残っている不動産に夫婦どちらかが住みたいと思っている場合には、住宅ローンの名義変更ができないことに注意しましょう。
住宅ローンの名義人がそのまま住むならばトラブルになりませんが、住宅ローンの名義人ではない方が住む場合には、住宅ローンの支払いをめぐりトラブルになりやすくなります。

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不動産売却の注意点③相続の手続きを把握する

不動産売却の注意点③相続の手続きを把握する

売却を希望する不動産のなかには、相続する実家などが含まれます。
相続する不動産を売却する場合には、どのような注意点があるか見てみましょう。

兄弟姉妹がいる場合

1軒の実家に対して相続人が自分1人だけであれば、スムーズに売却を進められます。
しかし、1軒の実家に対して、相続人が自分だけでなく複数人いる場合、注意が必要です。
兄弟姉妹など複数の相続人がいるならば、まずは遺産をどのように分けるかについて話し合う遺産分割協議をおこないます。
遺産のなかに不動産が含まれる場合、預貯金などと違い、分け方に工夫が必要であることは注意点です。
複数の不動産を相続する場合であれば、兄弟姉妹がそれぞれ不動産をひとつずつ受け取れます。
一方で、ひとつの不動産を複数人で分けるには、換価分割または代償分割を選ぶのが一般的です。
換価分割とは、不動産の売却代金を公平に分ける方法で、代償分割とは不動産を受け継ぐ1人が、ほかの相続人に対して代償金を支払う方法です。

売却には名義変更が必要

不動産を相続した方が名義を自分に変更する手続きは、相続登記とよばれます。
以前は、相続登記は義務ではありませんでしたが、現在では所有者不明の土地問題の解消などを目的として義務化されています。
すぐに相続した不動産を売却するならば、名義変更が必要となるのはもちろんのこと、すぐに売却しなくても相続登記による名義変更が必要です。
相続登記は不動産がある場所の法務局で、遺産分割協議の結果を書面にした遺産分割協議書や亡くなった方の戸籍謄本など、必要書類をそろえて申請しましょう。

さまざまな税金の対象になる

相続した不動産を売却する場合、さまざまな税金の対象になることが注意点です。
まず、相続した財産は相続税の対象ですが、基礎控除額の範囲内であれば相続税はかかりません。
また、不動産売買契約のタイミングで発生するのが、売買契約書に印紙を貼り納める印紙税です。
印紙税は、契約書に記載された金額によって税額が異なります。
さらに、不動産売却で利益が出た場合、売却翌年の確定申告で譲渡所得税を納める必要があります。
譲渡所得税の対象となる不動産売却の利益とは、不動産の売却代金そのものではなく、購入当時と売却にかかった費用を差し引いて残る金額です。

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まとめ

不動産売却における仲介と買取には、売却の早さや売却価格などに違いがあります。
離婚時に不動産を売却する場合は、共有名義の不動産や住宅ローンの残債などについての注意が必要です。
相続した不動産を売却するならば、遺産分割協議と相続登記をおこなうとともに、各種税金の納付をおこないましょう。