不動産売却後に確定申告が不要なケースは?対応忘れの問題と特例も解説!

不動産売却後に確定申告が不要なケースは?対応忘れの問題と特例も解説!

不動産売却後には確定申告が適宜おこなわれますが、手続きの必要性はケースバイケースです。
確定申告には多少の手間がかかるため、どのようなケースなら不要なのか、気になるところではないでしょうか。
そこで今回は、不動産売却後に確定申告が不要なケースと確認方法にくわえ、対応を忘れたときの問題、使える可能性のある特例も解説します。

不動産売却後に確定申告が不要なケースと確認方法

不動産売却後に確定申告が不要なケースと確認方法

確定申告の必要性は、不動産売却の結果によって決まります。
確定申告が不要なケースやその確認方法などは、以下のとおりです。

確定申告が不要なケース

確定申告が不要とされるのは、不動産売却で利益が出なかったときです。
そもそも確定申告とは、1月の始めから12月の末日までに生じた所得と課税額を自身で計算し、納税までおこなう手続きです。
課税対象の所得には、毎月得ている収入によるものだけでなく、不動産売却の利益も含まれます。
不動産売却の利益は、正確には課税譲渡所得と呼び、所得税と住民税が課せられます。
そのため、利益がいくらか出ているときは、所得の申告や納税をしなくてはなりません。
一方、不動産売却で損失が出ていれば、申告する所得や課税額がないため、確定申告は不要です。

不動産売却の利益を確認する方法

不動産売却の利益は、以下の計算式で確認できます。
不動産売却の利益=売却価格-取得費-譲渡費用
取得費とは、売却した不動産の購入当時に支払った代金や手数料などのことです。
譲渡費用は、不動産売却で発生した仲介手数料や測量費用などにあたります。
両費用をそれぞれ差し引くため、買主から受け取った金額がそのまま利益にはなりません。
計算結果がマイナスなら損失が出ているため、確定申告は不要です。
一方、計算結果がプラスなら利益が出ており、確定申告が必要となります。

確定申告の方法

確定申告は、毎年2月16日~3月15日の期間に受付されています。
納税者のほうで申告書類を作成し、管轄の税務署への持参や郵送などで提出すれば完了です。
申告書類は、国税庁のホームページにある確定申告書作成コーナーなどで作成できます。
必要書類の種類や申告書の作成方法などは、税務署で相談可能です。
確定申告の時期になると、税務署などに相談会場が設けられることがあるため、お住まいの地域で一度調べてみましょう。

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不要ではなかった!不動産売却後の確定申告を忘れたときの問題

不要ではなかった!不動産売却後の確定申告を忘れたときの問題

確定申告の必要性は各個人で確認するため、手続きは不要だと誤って判断してしまうリスクがあります。
確定申告が必要な際におこなっていない場合、無申告になってしまいます。
確定申告の手続きを忘れると、以下の問題が起きるため注意が必要です。

無申告加算税が発生する

無申告加算税とは、所得の申告を忘れたときに課せられるものです。
税額は固定ではなく、納付が遅れた税額に規定の税率をかける形で計算します。
無申告加算税の影響で、期限内に申告したときよりトータルの税額が少し高くなります。
ただし、確定申告を忘れたときでも、条件によっては無申告加算税が発生しません。
条件のひとつは、確定申告の期限から1か月以内にみずから申告することです。
くわえて、期限内に申告する意思があったと認められることが必要です。
申告の意思は、規定の税額を法定期限までに全額納めているなど、一定の条件で判断されます。
無申告加算税が不要とされるかどうかは一概にいえませんが、対応が早ければ発生しない可能性はあります。

延滞税が発生する

確定申告を忘れたとき、無申告加算税とあわせて延滞税が発生します。
延滞税とは、自身への課税額を期日までに全額納付できなかったときに課せられるものです。
特徴は、納付期限の翌日から実際に納付した日までの日数に応じて、税額が計算されることです。
確定申告を忘れたままになっていた期間が長いほど、税額が高くなるため注意しましょう。

銀行で融資を受けにくくなる

確定申告のなかで作成した決算書は、銀行で融資を受けるときに使用する可能性があります。
確定申告を忘れたままだと、銀行に提示する決算書がなく、手続きに支障が出かねません。
必要な融資を受けられないと、事業の継続が難しくなるおそれがあります。

確定申告を忘れたときの対処法

手続きを忘れていたことに気付いたら、すぐに管轄の税務署まで申告しましょう。
先述のとおり、確定申告の期限は基本的に3月15日ですが、以後にも申告は随時可能です。
不動産売却の利益を申告し、無申告加算税や延滞税を含めて規定の税額を納めれば、手続きは完了です。
なお、不動産売却後に確定申告をおこなっていないと、税務署からお尋ねが届くことがあります。
お尋ねとは、確定申告や納税が必要な可能性のある方に対し、確認のために送られる書類です。
お尋ねが届いたら、自身の所得や課税額を再確認しましょう。
再確認のなかで確定申告が必要だったと判明しても、速やかに申告や納税をおこなえば問題ありません。

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確認しておこう!不動産売却後に確定申告することで利用できる特例

確認しておこう!不動産売却後に確定申告することで利用できる特例

不動産売却後に確定申告をおこなうとき、税制上の特例で節税できることがあります。
事前に確認したい主な特例は、以下のとおりです。

マイホームの3,000万円特別控除

マイホームの3,000万円特別控除とは、マイホームの売却後に利益を計算するとき、3,000万円を控除できる特例です。
高額な控除の特例が用意されているのは、マイホームの売却で得た資金は、以後の生活や住まいの確保などに必要な資金となるからです。
本特例を使えれば、3,000万円以内の利益はすべて相殺でき、マイホームの売却後に課税を避けられます。
適用要件のひとつは、売主の自宅だった住宅を売却していることです。
また、建物だけでなく、敷地や借地権もあわせて売却が必要です。
規定の要件をすべて満たさないと、たとえマイホームを売却していても、3,000万円の特別控除は適用されないため注意しましょう。

軽減税率の特例

軽減税率の特例とは、マイホームを売却したときの利益にかかる所得税と住民税において、通常より税率を下げるものです。
本特例を使うには、売却した年の1月1日時点で、マイホームの所有期間が10年を超えている必要があります。
所有期間が10年を超えた不動産を売却して利益が出たときの税率は、通常は所得税で15.315%、住民税で5%です。
軽減税率の特例が適用されると、利益のうち6,000万円以下の部分に対する税率は、所得税で10.21%、住民税で4%となります。
6,000万円超えの部分では、特例の適用後にも税率が変わらないため注意しましょう。

譲渡損失の買換え特例

譲渡損失の買換え特例とは、マイホームの買換えによって出た損失との相殺により、ほかの所得を減らせるものです。
ほかの所得を減らせれば、自身に課せられる税額が減ってお得です。
相殺しきれなかった損失は、翌年から3年間にわたって繰り越し、同じように節税へと活用できます。
なお、特例の適用によって自身の課税額が減ったものの、給与からの天引きで所得税をすでに納付しているときは、過剰分が還付されます。

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まとめ

確定申告は1年間の所得の申告や納税をおこなう手続きなので、規定の式で計算した結果、不動産売却で利益が出ていなかったときは不要です。
判断を誤ったときや手続きを忘れたときには、無申告加算税や延滞税を課せられるなどの不利益を被るため、期限後でもすぐに申告をおこないましょう。
不動産売却後に使える可能性のある特例には、マイホームの3,000万円特別控除や軽減税率の特例、譲渡損失の買換え特例があります。