不動産の売却益とは?計算方法や節税の方法をご紹介

不動産の売却益とは?計算方法や節税の方法をご紹介

不動産を売却すると、売却代金に対して売却益が発生することがあります。
売却益は、どのようなときにでも発生するわけではなく、税金を申告するために適切な計算が必要です。
そこで今回は、不動産の売却益とは何か、売却益の計算方法や売却益にかかる税金を節税する方法についてご紹介しますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

不動産の売却益とは

不動産の売却益とは

売却益とは不動産を売却すると発生する可能性があるものですが、どのようなケースでも発生するわけではありません。
不動産を売却したあとの手続きを正確におこなうためには、売却益とはどのようなものなのかをしっかり把握しておくことが大切です。

不動産売却で出た利益

売却益は、不動産の売却によって得られた利益のことです。
税制上、すべての売却代金が利益となるわけではなく、売却代金から各種費用や控除を差し引いた残りの金額が利益となります。
そのため、売却代金から各種費用を差し引いた結果、金額がマイナスとなり、損失が発生することもあります。

売却益には税金が課される

不動産を売却して売却益が発生した場合、その売却益に対して税金が課されます。
売却益に課される税金は、基本的に所得税と住民税の2種類です。
2037年までは復興特別所得税も課されており、これらの税金を合わせて譲渡所得税と呼びます。
所得税や住民税は、給与などにも課されますが、不動産の売却益は分離課税であるため、別途計算が必要です。
売却益が発生せず、損失しかない場合、譲渡所得税は発生しません。

売却益は確定申告の対象となる

不動産を売却して売却益が出た場合、確定申告が必要です。
確定申告とは、前年の1月から12月までの収入額やそれに対する税金を計算して申告する手続きです。
会社員の場合、通常の給与などの収入については勤務先が申告するため、確定申告は必要ありません。
しかし、不動産を売却した場合、会社員であっても確定申告が必要です。
なお、売却によって損失が発生した場合、売却益が出ている場合とは異なり、確定申告は必要ありません。
ただし、損失が発生した場合にのみ適用できる控除を利用する場合は、売却益が出ていなくても確定申告が必要です。
売却益の有無に関わらず、基本的には確定申告をおこなうことをおすすめします。

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不動産の売却益の計算方法

不動産の売却益の計算方法

確定申告をおこなうための不動産の売却益は、計算によって求められます。
基本的には、不動産の売却代金から取得費と譲渡費用を引けば計算できます。
取得費とは、売却した不動産を購入や相続によって取得したときに支払った代金のことです。
譲渡費用は、不動産を売却するときに支払った手続きの料金などです。
取得費には、不動産の購入代金や購入時に支払った仲介手数料印紙税、登録免許税なども含まれます。
譲渡費用には、不動産を売却するときの仲介手数料や建物の解体費用などが含まれるのが特徴です。

取得費は減価償却費を計算する

取得費を計上する際には、減価償却費を計算する必要があります。
不動産の建物の購入費用は取得費に含まれますが、建物の価値は年々減少するため、減価償却をおこなう必要があります。
そのため、購入費用から減価償却費を差し引くことにより、現時点での正しい価値を反映させる必要があるでしょう。
減価償却費は、以下の計算式を用いて求めることができます。
減価償却費=建物の購入代金×0.9×償却率×経過年数
償却率は、建物の構造によって異なるので注意が必要です。
また、減価償却が適用されるのは、建物の購入費用のみであり、土地の購入費用には適用されない点にも注意が必要です。

課税譲渡所得を計算する

売却益は譲渡所得とも呼ばれ、譲渡所得税を計算する際に使用される数値です。
しかし、売却益全額に所得税が課されるわけではありません。
実際に課税されるのは、売却益から利用できる控除を差し引いた課税譲渡所得です。
そのため、特例や控除をうまく活用すれば、売却益に対する税金を節税できる可能性があります。

譲渡所得税を計算する

譲渡所得税は、課税譲渡所得に所定の税率をかけて計算されます。
譲渡所得税の税率は、不動産を所有していた期間によって異なるため、注意が必要です。
不動産を所有していた期間が5年以内であれば短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得が適用されます。
短期譲渡所得に比べ、長期譲渡所得の税率は低く設定されています。
短期譲渡所得では、復興特別所得税を含む所得税が30.63%、住民税が9%です。
長期譲渡所得では、復興特別所得税を含む所得税が15.315%、住民税が5%です。
両者の間には税率に大きな差があるため、できるだけ5年を超えて所有した後に売却することが望ましいでしょう。

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不動産の売却益にかかる税金を節税する方法

不動産の売却益にかかる税金を節税する方法

不動産は高額な財産であるため、取得費や譲渡費用を差し引いたあとの売却益にかかる税金も比較的高額になります。
売却益に適用できる控除や特例を活用すれば、その税金を非課税、あるいは軽減して節税できます。

居住用財産を売却したときの3,000万円特別控除

売却した不動産が居住用財産、すなわちマイホームであれば、3,000万円の特別控除を適用して節税できます。
これは、売却益3,000万円分を非課税にできる特別控除です。
売却した不動産の価格が3,000万円に満たない場合や売却益が3,000万円を下回る場合、譲渡所得税が課されなくなるため、節税効果が大きくなります。
ただし、該当の不動産に住まなくなってから3年後の12月31日までに売却するなど、制限があるため注意が必要です。

相続した空き家を売却したときの3,000万円特別控除

相続や遺贈によって取得した住宅を売却する場合、3,000万円の特別控除を適用できます。
この特別控除を適用するためには、相続開始から3年後の12月31日までに該当の不動産を売却しなければなりません。
また、特別控除の適用には、被相続人が生前にその住宅に住んでいたこと、相続開始から売却までの間に誰も住んでいないこと、さらに現行の耐震基準を満たした建物である必要があります。

10年超所有した不動産に対する軽減税率の特例

売却した不動産を10年以上所有していた場合、長期譲渡所得よりも低い軽減税率を適用して節税できます。
この特例は、居住用財産を売却した際の3,000万円特別控除と併用でき、控除が適用されたあとの残り金額に適用されます。
課税譲渡所得が6,000万円以下の部分については、所得税が10.21%、住民税が4%となり、大幅に節税することが可能です。
6,000万円を超えた部分については、通常の長期譲渡所得と同じ税率が適用されます。

売却損が発生しても節税できる

不動産を売却し、売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いた結果、損失が出るとそれは売却損と呼ばれます。
特定の要件を満たす不動産売却で売却損が発生した場合、損益通算によって他の所得にかかる所得税の節税が可能です。
たとえば、マイホームの買い替えで売却損が出た場合や住宅ローンの残債を下回る形で住宅が売れた場合などが該当します。
この場合、その年の給与所得や事業所得などにかかる譲渡所得を控除でき、控除しきれなかった分は翌年以後3年間繰越控除することができます。
この制度を利用して節税するためには、売却損が発生した際でも確定申告をおこなう必要があるでしょう。

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まとめ

不動産の売却益は、売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いたあとに残った利益です。
売却益から各種控除を引いたあとの課税譲渡所得に税率をかけ、譲渡所得税を計算します。
売却益だけでなく、売却損が出たときにも特例を用いて節税が可能です。