不動産投資では確定申告が必要?準備する書類や節税ポイントを解説

不動産投資では確定申告が必要?準備する書類や節税ポイントを解説

アパート経営などの不動産投資において、悩みの種となりやすいのが確定申告です。
とくに、これから不動産売却を始める方であれば、手続きがわからず不安を抱えてしまうことがあるでしょう。
そこで今回は、不動産投資をするために知っておきたい確定申告とはどのようなものなのか、確定申告の必要書類と節税のポイントを解説します。

不動産投資における確定申告とは

不動産投資における確定申告とは

副業として不動産投資を始める方のなかには、今まで確定申告をおこなったことがない方がいらっしゃるかもしれません。
まずは、確定申告とはどのようなものなのか、その内容を見てみましょう。

確定申告の概要

確定申告とは、所得税を自分で計算して納税するための手続きです。
確定申告が必要なのは、会社でもらう給与以外に一定の所得がある方です。
会社員は給与所得から所得税を納めていますが、会社の年末調整で手続きが完了するため、確定申告をおこなうことはありません。
しかし、不動産投資や不動産売却など、給与所得以外に所得を得た場合、会社員であっても確定申告が必要です。
確定申告は、毎年年度末におこなうものと決まっていますので、給与所得以外の所得があるなら、早めに手続き方法を確認しておきましょう。

不動産投資に確定申告が必要な理由

確定申告とは、給与所得以外に年間20万円以上の所得があった場合に必要な手続きです。
不動産投資では、家賃収入などで20万円以上の利益を得る場合、確定申告が必要になります。
ただし、不動産投資をおこなっているアパートの入居者から受け取った家賃がそのまま所得になるわけではありません。
不動産投資に欠かせない経費などを差し引いたうえで、利益が20万円以上になる場合、その利益に対して所得税が課せられます。
したがって、不動産投資で利益が20万円以上である場合には、確定申告が必要といえます。

確定申告の手続き

確定申告とは、1年間の所得に対する所得税を翌年度末に申請する手続きです。
毎年確定申告の手続きをおこなうのは、2月16日から3月15日までと定められています。
不動産投資をしている場合、この確定申告のスケジュールを把握したうえで、書類提出などの手続きを進めることが大切です。
確定申告の流れとしては、まず必要書類を集めてから、決算書と確定申告書を作成します。
国税庁のホームページからマイナンバーカードを利用しておこなうe-Taxであれば、税務署へ出向くことなく書類の提出がおこなえます。
ただし、不動産投資を始めてから最初の確定申告であれば、税務署に足を運び相談しながら手続きを進めても良いでしょう。

不動産投資の確定申告における必要書類

不動産投資の確定申告における必要書類

不動産投資をおこなっている方が確定申告をする場合、手続きのための必要書類が複数あります。
確定申告の期限に間に合うように、早めに必要書類をチェックしておきましょう。

不動産投資に関する必要書類

確定申告では、不動産投資でいくらの利益が出たかを証明する書類が必要です。
具体的には、不動産投資をおこなっているアパートなどを貸し出すタイミングで作成した賃貸借契約が必要になります。
また、不動産投資物件の家賃管理などを外部の管理会社に委託している場合、家賃の送金明細書が必要です。
家賃の送金明細書とは、管理会社が集めた家賃の清算に使う書類で、管理会社から受け取ります。
このほかに、不動産投資をおこなう不動産購入の売買契約書、不動産購入にかかった費用の明細である売渡清算書も必要書類です。

不動産投資の経費に関する必要書類

家賃収入から経費を差し引いた金額が、基本的な課税対象となります。
適切な所得税の金額を計算するには、不動産投資にかかった経費を正しく計上することがポイントです。
確定申告では、経費を記載する欄がありますので、金額の証拠となる書類を揃えておきましょう。
経費に関する必要書類として挙げられるのが、不動産にかかった税金の納付通知書です。
具体的には、不動産を購入した後に支払う不動産取得税、所有する不動産に毎年課せられる固定資産税が該当します。
また、ローンを組んで不動産投資物件を購入した場合、前の年のローン返済表が必要書類です。
ローンの金利は経費として認められますので、漏れがないよう計算しましょう。
さらに、不動産投資物件にかかった管理費や修繕積立金なども、確定申告で経費として計算します。
管理を外部の管理会社に委託しているならば、領収書を保管しておきます。
このほかに、減価償却費を計算するための譲渡対価証明書が必要です。

そのほかの必要書類

所得税には控除があり、控除できる費用に関連する書類が必要です。
具体的には、不動産投資物件の損害保険料の証券や領収書が該当します。
また、不動産投資で利益ではなく赤字が発生した場合、給与所得との損益通算が可能です。
不動産投資の赤字分を給与所得の黒字分から差し引き、給与所得にかかる所得税の負担を減らせます。
この手続きには確定申告が必要で、計算のためには勤務先から受け取る源泉徴収票が必要です。

不動産投資の確定申告で節税するポイント

不動産投資の確定申告で節税するポイント

不動産投資では、できるだけ税金の負担を減らすことが安定した運用のコツです。
確定申告における節税も大切なポイントですので、具体的な内容を押さえておきましょう。

経費を漏れなく計上する

不動産投資の利益に課せられる所得税は、利益から経費を差し引いた金額に応じて計算されます。
したがって、不動産投資にかかった経費を漏れなく計上することが、確定申告における節税のポイントです。
不動産投資をおこなうアパートなどで経費となるのは、管理費や修繕費です。
管理費は毎日の清掃にかかる費用だけでなく、設備点検作業費や消防設備の法定点検費用が含まれます。
また、アパートの共用部分の修繕費以外に、入居者の退去のタイミングでおこなう室内のクリーニングや修繕などは、修繕費として経費計上可能です。
さらに、将来のメンテナンスのために積み立てる修繕積立金も、確定申告で経費として計上しましょう。
このほかに、不動産投資のためにかかった交通費や資料購入費用、電話などの通信費用、税理士費用は、そのほかの費用として確定申告の経費となります。

減価償却費を計上する

確定申告では、経費として減価償却費を計上し節税につなげます。
減価償却費とは、不動産投資物件となるアパートなどの購入費用を適切な形で経費として計上するためのものです。
不動産投資における確定申告では、アパートなどの購入代金をそのまま翌年に全額経費とすることはできません。
アパートなどの購入代金は、不動産の構造に応じて定められた耐用年数に分割したうえで、少しずつ経費として計算します。
減価償却費を計上すれば、一定期間はまとまった金額を経費として計算し節税できます。

損益通算を利用する

普段は会社員として働く方が副業で不動産投資をおこなう場合、給与所得と不動産投資の所得で損益通算が可能です。
給与所得と不動産投資の所得がともに黒字の場合は適用できませんが、不動産投資が赤字になった場合は損益通算を活用できます。
不動産売却を始めたばかりだと、家賃収入より修繕や管理の経費が高くなり、赤字になることがあります。
不動産投資の所得が100万円赤字となった場合、給与所得から100万円を減らすことが可能です。
損益通算をおこなった場合、給与所得に課せられる所得税が減り、節税効果が生まれます。

まとめ

不動産投資では、家賃収入から経費などを差し引いた利益に対して所得税がかかり、確定申告をおこなう必要があります。
不動産投資の確定申告をおこなう場合、不動産の収入などに関連する書類・経費関連の書類・控除書類や源泉徴収票などが必要です。
少しでも所得税の負担を減らすには、正しい経費計上・減価償却費・損益通算などの節税ポイントをチェックしてみてください。