競売物件を購入するメリットとは?デメリットについても解説!

競売物件を購入するメリットとは?デメリットについても解説!

自宅の購入を検討している方のなかには、安く取得できる競売物件の購入をお考えの方もいらっしゃるでしょう。
競売物件の安さは大きな魅力ですが、デメリットやリスクもあるため、それらも理解したうえで検討することが大切です。
そこで今回は競売物件の購入をお考えの方に向けて、競売物件を購入するメリットとデメリットについて解説します。

マイホームを購入する前に知っておきたい!競売物件とは?

マイホームを購入する前に知っておきたい!競売物件とは?

競売という単語を耳したことはあっても、どのような流れで家が競売にかけられるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
はじめに競売物件とはなにか、どのような特徴があるのかを解説します。

競売物件とは

競売物件とは、住宅ローンを滞納したため金融機関によって差し押さえられ、裁判所経由で売り出される不動産のことです。
住宅ローンを組む際には、契約者が返済できなくなった場合に備えて、金融機関が不動産に抵当権を設定します。
抵当権とは、契約者が返済不能に陥った場合に、債権者が物件を強制的に売却し、融資したお金を回収する権利です。
この抵当権を用いて、裁判所の強制執行により売却された物件が競売物件です。
住宅ローンが支払えなくなった場合に、任意売却(債権者から許可を得て物件を売ること)をする方法もありますが、売り出したからといってすぐに買主が見つかるとは限りません。
なかなか買主が見つからず、滞納した状態で任意売却の期間が長引くと、自宅は競売にかけられてしまいます。
競売物件の情報はホームページなどで公開され、個人や法人、外国人も入札して購入することができます。

競売物件でも住宅ローンは組める?

不動産購入時にほとんどの方が住宅ローンを組みますが、競売物件の場合も利用できるのでしょうか。
原則として住宅ローンを組むことはできますが、すべての金融機関が対応しているわけではありません。
競売物件であることは金融機関も把握しているため、貸し渋られる可能性が高いといえます。
なぜ金融機関が融資に消極的になりやすいのかというと、競売物件は確実に落札できるわけではないためです。
また事前に物件の状態を詳細に確認できないことから、金融機関は競売物件の引き受けを敬遠する傾向があります。
とくに競売物件が土地だけの場合、土地だけでは担保が弱いため、融資に消極的な金融機関も少なくありません。

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競売物件を購入するメリット

競売物件を購入するメリット

住宅ローンを組みにくいなどデメリットがある一方で、競売物件ならではのメリットもあります。
ここからは、競売物件を購入するメリットについて解説します。

メリット1:価格が安い

競売物件を購入する大きなメリットは、費用を抑えられることです。
地域によっても差がありますが、競売物件は相場の6~7割ほどの価格で販売されることが多いです。
たとえば市場相場が3,000万円の物件であれば、1,800万円から2,100万円ほどで購入できることになります。
競売物件が安い理由は、通常の不動産売買と異なりさまざまな制約があるためです。
具体的には、内覧ができないため室内の状況を確認できない、検討時間が短い、建物に不具合があっても保証がない点などが挙げられます。
これらは買主にとってリスクとなるため、競売物件は市場価格よりも安い価格で取引されるのが一般的です。
通常では購入できないような大きな土地や立地の良い家でも、競売物件であればお得に購入できるかもしれません。

メリット2:手続きが簡単

通常の物件を購入する場合、売主と買主、不動産会社の3者で立ち会いのもと決済がおこなわれます。
物件を引き渡した後におこなう登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、その際は委任状への署名捺印が必要です。
また司法書士に依頼する場合は、手数料と報酬をあわせて3万円から9万円ほどの費用がかかります。
競売物件の場合、これらの手続きはすべて裁判所がおこなうため、買主の負担が少ないというメリットがあります。
買主がおこなうことは、入札用紙と暴力団員に該当しない旨の書類の提出、保証金の納付、購入金額の納付のみです。
一般的な不動産購入とは異なり、裁判所書記官の権限で所有権を移転するので、司法書士手数料も発生しません。

メリット3:多様な物件がある

競売物件のメリットとして、市場に流通していない多様な物件が多い点も挙げられます。
たとえば、特殊な形をした土地や田舎の農地、一棟アパートなど、一般的には流通していないような物件が競売市場では出ることがあります。
不動産会社ではあまりご紹介できないような珍しい形状や立地のものも多いので、少しニッチな物件を探している方にはおすすめかもしれません。

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競売物件を購入するデメリット

競売物件を購入するデメリット

続いて、競売物件を購入するデメリットについて解説します。
デメリットを知らずに、安いからという理由だけで競売物件を購入すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
トラブルを避けるためにも、デメリットとメリットも両方を知った上で、競売物件を購入するか判断しましょう。

デメリット1:物件情報が限られている

一般的な不動産の場合、購入前に内覧をして、気になる点があれば所有者に質問することが可能です。
しかし競売物件では内覧ができず、元の所有者から物件状態の説明を受けることもできません。
物件の情報は、物件明細書・現況調査報告書・評価書という裁判所が作成した3点の書類から得ることになります。

●物件明細書:賃借権の有無等物件に関する権利がまとめられた書類
●現況調査報告書:建物の種類・構造や物件・土地がどのように使用されているかが記載されている書類
●評価書:競売物件の周辺の環境や評価額、不動産の図面といった資料


上記の情報は、最高裁判所が運営する「BIT不動産競売物件情報サイト」からも見ることができます。
しかし物件は内覧をしてみないとわからないことも多く、記載する事を定められていない情報が後に判明する可能性もあります。
可能であれば実際に現地を訪れ、周辺の雰囲気や建物の外観などを確認してみると良いでしょう。

デメリット2:引き渡し義務がない

競売物件を購入するデメリットの1つに、売主がいないため引き渡し義務がないことが挙げられます。
通常の不動産売買では、売主には所有権の移転だけでなく、その不動産を買主に引き渡す義務があります。
引き渡し義務は多岐にわたり、居住用の物件であれば居住者に立ち退いてもらった上で物件を引き渡さなければなりません。
また隣家の立ち会いのもとで敷地の境界を確定し、売主は買主に対してきちんと説明する義務もあります。
競売の手続きでは、所有権の移転までは裁判所がおこないますが、引き渡し義務までは負いません。
つまり裁判所の手続きで手に入れられるのは物件の所有権までで、その後の手続きはご自身でおこなう必要があるということです。
もしその物件に既に住んでいる方がいるような場合は、競売とは別の手続きによって明け渡しを求めなければなりません。

デメリット3:契約不適合責任がない

一般の不動産売買では、契約書に記載のない不具合や欠陥があとから見つかった場合に、売主が責任を負うことになります。
競売物件には売主が存在しないため、購入後に発覚した不具合などの修繕費用は、すべて買主が負担しなければなりません。

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まとめ

宅ローンの支払いが困難になり、債権者から裁判所を通して強制的に売却された物件を競売物件といいます。
競売物件を購入するメリットは、一般的な物件に比べてお得に取得できる、手続きの手間がかからないことです。
その一方で、住宅ローンを組みにくい、引き渡しがスムーズにおこなわれないリスクがあるといったデメリットもあります。
競売物件を購入するかどうかは、メリットとデメリットの両方を比較した上で、慎重に判断しましょう。