遠方にある不動産の売却方法は?流れや注意点も解説の画像

遠方にある不動産の売却方法は?流れや注意点も解説

遠方にある不動産の売却方法は?流れや注意点も解説

相続で取得した実家が遠方にあり、空き家になっているケースは珍しくありません。
土地や建物は所有しているだけで、税金の支払いや維持管理の手間がかかるため、活用しないのであれば売却を検討すべきでしょう。
ただし、遠方にある不動産を売るときは、通常の売却と異なる点があるので注意が必要です。
今回は遠方にある不動産の売却方法や流れ、注意点について解説します。

遠方にある不動産の売却方法

遠方にある不動産の売却方法

まずは、遠方にある不動産の売却方法について解説します。

方法1:持ち回り契約

方法としてまず挙げられるのが、持ち回り契約を利用することです。
持ち回り契約とは、不動産会社の担当者が売主と買主のもとに出向き、契約を締結する方法となります。
直接出向くのが難しい場合は、郵送にて双方から署名と捺印をもらい、売買契約を成立させることも可能です。
売りたい土地や建物が近くになくても売買契約を締結できるため、多くの方が利用しています。
また、売買契約は売主と買主、不動産会社などが揃った状態でおこなうのが一般的です。
しかし、売主と買主のスケジュールが合わないケースも少なくありません。
持ち回り契約は、そのようなときにも用いられる方法です。

方法2:親族や配偶者などによる代理契約

親族や配偶者などによる代理契約も、遠方にある不動産の売却方法の一つです。
親族や配偶者を代理人に選任し、売買契約や決済の日に立ち会ってもらいます。
ただし、代理人を立てる場合は、代理権委任状が必要です。
代理権とは、売買契約を締結するとき、その効果を本人に帰属させることを指します。
つまり、代理人がおこなった行為は、本人がおこなったのと同じということです。
そのため、代理人には信頼できる方を選ぶ必要があります。
現地の近くに親戚が住んでいる場合は、代理契約も選択肢の一つとして検討なさってください。

方法3:司法書士に売却してもらう

方法として、司法書士に売却してもらうことも挙げられます。
司法書士とは、法律の知識に基づいて、不動産登記や契約書類の作成、提出をおこなう専門家です。
依頼する事務所によっては、売却の手続きや所有権移転登記など、さまざまな手続きを依頼することができます。
遠方にある土地や建物を売るときは、司法書士に委任状を託し、引き渡しのタイミングで代理出席してもらうということも可能です。
不動産取引に慣れている司法書士なら、安心して任せることができるでしょう。
ただし、司法書士に依頼する場合は、報酬(手数料)の支払いが必要です。

遠方の不動産を売却する際の手続きの流れ

遠方の不動産を売却する際の手続きの流れ

続いて、遠方の不動産を売却する際の、手続きの流れについて解説します。

流れ1:査定をおこなう

流れの最初におこなうことは、土地や建物の査定です。
査定とは、売りたい土地や建物がどのくらいの価格で売却できるかを、不動産会社が調査することをいいます。
査定には2つの種類があり、一つ目は机上査定です。
机上査定では、売主から提供された不動産の情報や、類似物件の成約価格などからおおよその価格を算出します。
スピーディーに結果が出せるのが、机上査定のメリットです。
もう一つは訪問査定という方法で、実際に現地を見て査定をおこないます。
日当たりや周辺環境など、机上査定では把握できないところも考慮できるので、より精度の高い査定をおこなえるのがメリットです。

流れ2:媒介契約を締結する

次の流れは、媒介契約を締結することです。
媒介契約とは、売主と不動産会社が結ぶ契約のことで、契約期間や条件、仲介手数料の金額などがまとめられています。
媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があるので、売却の目的やご自身の事情などによって決めてください。
なお、媒介契約は、郵送での締結も可能です。

流れ3:販売活動をおこなう

売買契約の締結後、不動産会社が販売活動を開始します。
遠方にある不動産の情報をホームページにアップしたり、ポスティングチラシを作成したり、状況によってはオープンハウスを実施することもあるでしょう。
既存の顧客が探している不動産にマッチすれば、ご紹介することもあります。

流れ4:買主と売買契約を締結する

販売活動によって買主が見つかったら、次は売買契約の締結です。
先述のとおり、買主と会うのが難しい場合は、持ち回り契約や代理人による契約、司法書士へ依頼するといった方法があります。
売買契約書には専門用語がたくさん書かれているので、不明点や疑問点があれば、不動産会社にご連絡ください。

流れ5:決済と引き渡しをおこなう

売買契約書の締結が無事に済んだら、最後は決済と引き渡しです。
買主から売買代金を受け取ったり鍵の受け渡しをおこなったり、所有権を売主から買主へ移転したりする手続きをおこないます。
決済と引き渡しは、できれば売主本人が立ち会うのがベストです。
難しいようであれば、親戚や配偶者、司法書士などに依頼し、代理で出席してもらいます。

遠方の不動産を売却する際にチェックしておきたい注意点

遠方の不動産を売却する際にチェックしておきたい注意点

最後に、遠方の不動産を売却する際にチェックしておきたい、注意点について解説します。

注意点1:手続きに時間がかかりやすい

注意点としてまず挙げられるのが、手続きに時間がかかりやすいことです。
たとえば持ち回り契約の場合、不動産会社の担当者が、売主と買主それぞれに出向く必要があります。
郵送で契約を締結する場合も、相手に届いて返送してもらうまでの時間が必要です。
対面で契約を締結するのであれば、同日に手続きを完了させることができます。
遠方にある土地や建物を売る場合は、通常の売却と比べて時間がかかるため、余裕を持って動き出すことが重要です。

注意点2:代理人とは現地にいって顔を合わせておく

代理人とは現地にいって顔を合わせておくことも、注意点の一つです。
親族や配偶者以外の代理人を立てて、契約の手続きをおこなう場合、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
電話やラインなどでもやり取りすることは可能ですが、実際に会ってみてわかることも多いです。
安心して取引をおこなうためにも、可能であれば売主が現地にいき、代理人と直接会っておくことをおすすめします。

注意点3:売主が主体的にスケジュールを把握し手続きを進める

売主が主体的にスケジュールを把握し、手続きを進めることも、注意点の一つです。
いつまでに引き渡しを完了させたいのか、どのタイミングで現地に足を運ぶのかを、把握しておくようにします。
「いつか売れれば良いか…」という姿勢では、なかなか成約に至らないでしょう。

注意点4:進捗状況の報告がある媒介契約を選ぶ

先述のとおり、媒介契約には3つの種類があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、反響の有無や内覧の数など、進捗状況の報告が義務となっています。
遠方の不動産を売る場合、今どのような状況にあるのかを、把握しにくくなるのがデメリットです。
上記2種類の媒介契約であれば、より安心して売却することができます。

まとめ

遠方にある不動産を売却する場合、持ち回り契約や代理契約、司法書士に依頼するなどの方法があります。
引き渡しまでの流れは、通常の売却とほぼ同じですが、契約書を郵送でやり取りすることが異なる点です。
売るときの注意点として、時間がかかりやすいことや代理人とは現地にいって顔を合わせておくこと、進捗状況の報告がある媒介契約を選ぶことなどが挙げられます。