不動産売却の必要書類は何がある?3つのタイミング別に解説

不動産売却の必要書類は何がある?3つのタイミング別に解説

不動産を売却するときには、多くの書類が必要です。
また、必要書類をどのタイミングで提出するのかを把握しておくと取引もスムーズに進みます。
そこで今回は、不動産を売却するときの必要書類を、手続きの流れに沿って売却前、契約締結時、決済時の3つのタイミング順に解説します。
不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の売却前に準備する必要書類

不動産の売却前に準備する必要書類

不動産を売却するためには、まず不動産会社の査定を受け、どれくらいの価格で売れるのかを把握する必要があります。
なぜなら、不動産の価値は物件ごとに異なるからです。
そのため、築年数や劣化状況、周辺環境など、不動産会社はさまざまな観点から査定価格を算出します。
また、不動産の売買には相場があるため、相場から離れた価格で売り出しても売買契約が成立しにくいです。
市場相場も加味しながら適正な販売価格を設定するために、不動産の価値をしっかり判断できる書類が売却前に必要です。
不動産の売却前に準備する必要書類としては、以下のようなものが挙げられます。

●間取り図、測量図
●建築確認済証・検査済証
●購入時の売買契約書・重要事項説明書
●登記簿謄本(登記事項証明書)


上記の書類について、順番に解説します。

間取り図・測量図

物件がどのような間取りなのかを把握するために、ドアや窓の位置、方角、広さなどが記載されている間取り図が必要です。
また、土地の形状や面積なども査定価格に影響するため、境界線が記載されている測量図も提出してください。
境界線については、不動産を売却するときに買主に明示する義務があるため、境界が確定していない場合は土地家屋調査士に確定測量を依頼し、確定測量図を作成してもらいましょう。

建築確認済証・検査済証

建築確認済証は、建築基準法に適合していることを証明する書類です。
検査済証は、図面どおりの建物が完成したことを証明する書類です。
これらの書類がないと、住宅ローンにとおりにくいだけでなく、不動産を売却しづらくなります。

購入時の売買契約書・重要事項説明書

不動産を購入したときに取り交わした売買契約書や、重要事項説明書も、売却前に準備しておく必要があります。
物件の情報だけでなく、居住するうえで知っておくべき重要事項が記されており、査定価格を算出するうえで重要な資料となります。
また、購入時に受け取った物件のパンフレットなどもセットで揃えておくと、より不動産を把握しやすいです。

登記簿謄本(登記事項証明書)

登記簿謄本は、所有者や担保、大きさや構造などが記載された証明書で、法務局で取得できます。
さらに、インスペクションの結果報告書や住宅性能評価書など、不動産の価値を高める書類があれば査定価格のアップに繋がる可能性があるため、売却前に提出しましょう。

不動産の売却で契約締結時に準備する必要書類

不動産の売却で契約締結時に準備する必要書類

査定価格に納得したら、不動産会社と媒介契約を結んで売却活動を開始します。
そして、買主が見つかったら、条件交渉をおこない、買主と売買契約を結ぶ流れになります。
売買契約締結時には、以下の書類が必要です。

●登記済権利証もしくは登記識別情報
●物件状況等報告書・付帯設備表
●本人確認書類
●印鑑証明書


上記の書類について、順番に見ていきましょう。

登記済権利証もしくは登記識別情報

これらは、いずれも不動産の所有者を証明する書類です。
登記済権利証は、登記が完了した際に、その不動産の名義人に交付されていた書類です。
平成16年の不動産登記法の改正により、登記済権利証の代わりに12桁の符号が交付されるようになりました。
この符号のことを「登記識別情報」といい、登記が完了すると登記識別情報が記載された「登記識別情報通知書」が名義人に発行されます。
これらの書類は、名義人本人であることと、本人の意思で売却することを証明する目的で提出を求められます。

物件状況等報告書・付帯設備表

物件状況等報告書は、売主が知っている物件の状況や修繕履歴などを買主に告知する書類です。
付帯設備表は、物件に付随する設備の状況を買主に伝えるための書類で、設備の内容や状態、不具合の有無、修繕履歴などを記載します。
契約書類は不動産会社が準備しますが、物件状況報告書と付帯設備表は、売主が作成したものを買主に提示します。
とはいえ、売主が一から作成することはあまりありません。
不動産会社がフォーマットを用意しており、売主がそのフォーマットに記入していくのが一般的です。
また不動産の売却では、契約不適合責任に関するトラブルがよく起こるため、売却時に物件や設備で気になることがあれば告知し、売買契約書に盛り込んだうえで契約を結びましょう。

本人確認書類

本人であることを確認できる書類の提出を求められます。
運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真が付いた身分証明書のコピーを提出してください。

印鑑証明書

売買契約締結時に使用する印鑑は、実印です。
その実印が本人のものであることを証明するために、印鑑証明書の提出を求められます。
印鑑証明書は住民票がある市町村役場で取得できますが、有効期限は3か月です。
印鑑証明書は、不動産の引渡し後におこなう所有権移転登記にも必要になり、売買契約から引渡しまで3か月以上かかることもあります。
その場合、有効期限が切れてしまうため、適切な印鑑証明書を取得するタイミングは不動産会社の担当者にご相談ください。

不動産の売却の決済時に準備する必要書類

不動産の売却の決済時に準備する必要書類

売買契約締結後、買主とスケジュールを調整し、決済日を決めます。
決済日と同日に不動産を引渡し、所有権移転登記もおこなうため、書類に不備がないよう、しっかり準備しておくことが大切です。
そこで最後に、決済時の必要書類について解説します。
決済日までに、以下のような書類を準備してください。

固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書

固定資産税は、1月1日時点に不動産を所有している方に毎年課される税金です。
売主が全額納付していても、売却したあとの期間の税金については買主が負担するのが一般的であるため、日割り計算で精算します。
したがって、固定資産税の税額を証明するため、毎年6月ごろに市町村から郵送される固定資産税納税通知書を提出してください。

登記関連の書類

住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、売却代金の決済と同時に残債を完済し、金融機関が設定した抵当権を抹消する「抵当権移転登記」をおこなう必要があります。
抵当権抹消登記に必要な書類は、金融機関に依頼して取得します。
ただし、書類の発行には、依頼してから10営業日ほど要するため、決済日が決まったら早めに金融機関に連絡しましょう。

設備の保証書や取扱説明書

物件のすべての鍵を渡して、引渡しの完了です。
設備の保証書や取扱説明書も揃えて、買主に引き継ぎましょう。
このように、不動産を売却するためには、さまざまな書類を提出しなければなりません。
不動産を購入したときに受け取った書類も多く、どこにあるか忘れてしまったというケースも少なくありません。
再発行ができないものもあるため、早めに準備を始めましょう。

まとめ

不動産を売却するときには、取引の流れに沿ってさまざまな書類の提出を求められます。
必要書類をその都度準備していると、取引がスムーズに進まないうえに、書類が揃うまで時間がかかるため、引渡しまでの期間が長引いてしまいます。
したがって不動産の売却を決めたら、自宅に保管している必要書類などを整理し、提出を求められたときに焦ることのないように準備しておくことが大切です。