不動産投資で法人化する方法は?メリットとデメリットも解説

不動産投資で法人化する方法は?メリットとデメリットも解説

不動産投資に成功し、次のステップとして追加物件の購入や、節税対策に力を入れようと考えている方は多いでしょう。
そういったケースで検討すると良いのは、個人としての不動産投資から、法人化したうえでの不動産投資への転換です。
今回は不動産投資を法人化する方法やメリット、そしてデメリットについて解説します。

不動産投資を法人化する方法

不動産投資を法人化する方法

不動産投資が軌道に乗ってきた場合や、最初から大規模な不動産投資をおこないたい場合は、法人の設立がおすすめです。
しかし、不動産投資を法人化するためには、決めなければならないことが多数あるうえ、用意するよう求められる書類もあります。
まずは不動産投資の法人化に向けた方法を見てみましょう。

法人化の方法①社名などの設立事項を決める

不動産投資の法人化に向けて、まずは設立事項を決定する必要があります。
社名については自由に決められますが、特殊な記号や「銀行」などの誤解を招く単語は加えられません。
所在地は必ずしも専用の事務所を構える必要はなく、レンタルオフィスを利用したり、自宅を所在地にしたりすることも可能です。
会社法の改正により、現在は資本金1円からでも法人化が可能ですが、初期の運営コストを考慮すると、数十万円~数百万円の資本金を用意すると良いでしょう。
また、株式会社を設立する場合は、1人以上の取締役を選任する必要があります。

法人化の方法②印鑑を作成する

法人化に向けて「会社実印」と「会社銀行印」、合計2本の印鑑を作成しましょう。
会社実印は、法務局で登記申請をおこなう場合にも必要になるため、会社設立前に用意することがポイントです。
会社銀行印は、主に銀行口座の開設や各種手続きをする場合に必要な印鑑で、会社のお金を移動する場合などに使います。

法人化の方法③登記に必要な書類を作成する

先述した印鑑の準備ができた段階で、登記に向けて必要な書類を作成しましょう。
不動産投資の法人化において必要な書類は次のとおりです。

●定款
●登記申請書
●就任承諾書
●取締役の印鑑証明書


定款とは、会社の基本的なルールをまとめた書類であり、記載が義務付けられている事項もあるため、必要に応じて行政書士などの専門家に依頼して慎重に作成しましょう。
登記申請書は、法務局のホームページで書式を入手し、パソコンで必要事項を入力して作成することが一般的です。
印鑑証明書は発行から3か月以内のものでなければ無効になるため注意しましょう。
すべての書類がそろったら、公証役場で定款の認証を受け、法務局で手続きを申請します。
手続きが受理されると、約1~2週間後に会社の登記が完了します。

不動産投資を法人化するメリット

不動産投資を法人化するメリット

法人化に対し「手続きが難しそう」「自分には無縁の世界」といったイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、法人化したうえで不動産投資をおこなうと、財政面などにおける大きなメリットを得られる可能性があります。
ここでは、不動産投資を法人化するメリットについて「節税」「融資」の2つのポイントから解説します。

法人化のメリット①節税効果が高くなる

法人化において大きなメリットになるのは、個人で不動産投資をおこなう場合と比較して、節税効果を高めやすくなることです。
個人で不動産投資をおこなう場合、所得税と住民税を合わせて最大55%もの税率で税金を支払わなければなりません。
しかし、法人化すると実効税率を20%台~30%台に抑えられます。
個人と比較して、経費として計上できる範囲を拡大させられることも法人化するメリットです。
生命保険の保険料を一例に挙げると、個人では所得控除の対象になるにとどまりますが、法人化すると全額を経費として算入できます。
また、個人が青色申告をおこなう場合、家族への給与を上限なしで控除できますが、社会通念上妥当な金額でなければ控除が認められません。
一方、法人は家族への給与について、青色申告ほど強い制約を受けずに役員報酬として計上できるため、不動産投資によって得た利益を守りやすくなります。

法人化のメリット②融資を受けやすくなる

個人が不動産投資をおこなう場合と比較して、法人化後は金融機関からの融資を受けやすくなります。
登記により会社の情報を公示できることに加えて、会計処理の信頼度も上がるため、社会的信用度が高くなり、金融機関の審査に通過しやすくなります。
また、金融機関が個人を審査する場合は、審査対象者の死亡や相続も考慮されますが、法人には人間と異なり「死」の概念がありません。
金融機関にとってのリスクが少なくなるため、高額な融資も受けやすくなるのです。
より高額な融資を受けられるようになれば、投資できる物件の母数が増えるため、より魅力的な物件を購入できるほか、事業拡大もしやすくなります。

不動産投資を法人化するデメリット

不動産投資を法人化するデメリット

不動産投資によって融資を受けやすくなり、節税効果も高めやすくなりますが、法人化にはいくつかのデメリットがあることも知っておかなければなりません。
個人で不動産投資をする場合と比較して、法人がやらなければならないことは増えるため、無理なく会社経営ができるかどうかを慎重に判断しましょう。
ここでは、法人化して不動産投資をおこなうデメリットについて「手続き」「費用」の2点から解説します。

デメリット①法人化に向けた手続きに手間がかかる

法人化のデメリットとして最初に考えなければならないのは、設立に向けた手続きに手間がかかることです。
法人化するためには、先述したように多くの書類を用意する必要があることに加えて、申請が受理されるまでに1~2週間の期間がかかります。
専門的な用語が多く用いられるため書類作成も難しく、行政書士などの専門家に書類作成を依頼する場合は、相談する手間と費用もかけなければなりません。
一方、個人事業主として不動産投資をおこなう場合は、税務署に開業届を提出するだけで手続きが完了します。
手間を省いて素早く不動産投資をはじめたい場合は、個人事業主として不動産投資をおこなうことも視野に入れると良いでしょう。

デメリット②法人を維持するために一定の費用がかかる

法人は複雑な税務処理や会計処理を実施する必要に迫られるため、これらの処理を税理士に依頼する方法を選ぶことが一般的です。
税理士と顧問契約を結んだり、記帳代行や申告代行といった業務を依頼したりする場合は、目安として年間50万円~70万円程度の依頼料を支払わなければなりません。
そのため、不動産投資によって得られる収益が少ない場合は、法人を維持するための費用で赤字経営になるリスクがあることがデメリットです。
一方で、不動産投資の事業規模が大きくなればなるほど、費用対効果が大きくなることはメリットといえます。
不動産投資の収益そのものが法人化の前後で変わらなかったとしても、法人化による節税効果により、税理士報酬などの維持費を支払っても利益が出る可能性があるでしょう。
維持費・収益・節税効果を天秤にかけて、収支がプラスになるかどうかを慎重に判断したうえで、法人化の有無を検討することがポイントです。

まとめ

不動産投資で法人化する方法は、社名などの設立事項を決めたうえで必要書類を集め、登記をするのが基本です。
節税効果を高められることなどが法人化のメリットですが、一方で維持費用がかかるなどのデメリットもあります。
法人化の方法を確認したうえで、デメリットを上回るメリットを得られるか検討しましょう。

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