不動産売却の分筆について!メリットや手続きの流れも解説

不動産売却の分筆について!メリットや手続きの流れも解説

不動産を売却する際には、土地を分ける「分筆」という手続きを活用することで、売却の選択肢が広がります。
なぜなら、分筆をおこなうことで、資産価値を高めたり、税制面でのメリットを得たりすることができるからです。
ただし、登記手続きや測量作業が必要となるため、適切な進め方を理解しておかなければなりません。
そこでこの記事では、不動産売却時の分筆の概要やメリット、具体的な手続きの流れについて解説します。

不動産売却における分筆とはどういうものか

不動産売却における分筆とはどういうものか

不動産の売却を検討する際、「分筆」という言葉を耳にすることがあります。
これは、土地を有効活用して資産価値を高める手続きですが、具体的な内容や流れは意外と知られていません。
分筆をおこなうことで、広い土地の一部だけを売ることができたり、将来的な相続のトラブルを回避できたりといったメリットがあります。
ここでは分筆とは何か、その手続きや注意点を解説します。

「分筆」とは

分筆とは、登記簿上で一つの土地を、複数の独立した区画に分割する手続きのことです。
100坪の土地を50坪ずつに分ける場合、分筆後はそれぞれが独立した土地として登記されます。
このように区画を分けることで、土地の一部を売却することや、複数人で財産を分ける際にも柔軟な対応が可能になるのです。
なお、似た言葉に「分割」がありますが、こちらは登記を伴わずに土地を区分する行為を指します。
法的に別々の土地として扱われるために必要なのは分筆であり、正式に一部分を売却する際には欠かせない手続きです。

分筆の手続きと登記

分筆には、まず土地家屋調査士に依頼して測量と境界の確認をおこなう必要があります。
隣接地の所有者とも境界を確認し、境界標の設置や地積測量図の作成をおこなったうえで、法務局に分筆登記を申請します。
申請には登記申請書や地積測量図、所有者の印鑑証明書、隣接地所有者との境界確認書などが必要です。
これらの書類を正確に準備しないと申請が受理されない場合があるため、専門家と連携しながら手続きを進めることが望ましいでしょう。
登記完了後、各土地は新たな地番が付与され、別々の土地として登記簿に記載されます。
手続きには数週間から数か月かかる場合があり、測量や登記の費用もかかるため、事前の見積もりが重要です。

分筆をおこなう際の注意点

分筆後の各土地が建築基準法や都市計画法などに適合しているかを事前に確認する必要があります。
建物を建てるには、道路に一定の幅で接していることなどの規定を満たさなければなりません。
また、測量費や登記費用などのコストも発生するため、十分な資金計画と準備が必要です。
隣接地所有者との境界確認が難航すれば、手続きが長引く可能性もあります。
とくに境界線に関しては、後で争いが起きないよう書面や図面を用いて明確に合意を得ておきましょう。
日頃から近隣と良好な関係を保ち、トラブルを避けることが大切です。

不動産売却における分筆のメリット・デメリット

不動産売却における分筆のメリット・デメリット

不動産売却を考える際、一つの土地を複数に分ける分筆は、売却や利用の柔軟性を高める方法です。
広大な土地を一括で売却すると買い手を見つけにくい場合でも、小分けにすることで需要が高まる可能性があります。
ただし、メリットもあればデメリットもあるため、慎重な検討が必要です。
ここでは、分筆の利点と注意点を解説します。

地目の変更による土地利用の最適化

分筆によって、土地の地目を必要に応じて変えることができます。
地目とは土地の主な用途を示す区分で、「宅地」「田」「畑」「山林」などがあり、分筆前は全体が一つの地目ですが、分筆後は各区画ごとに適切な地目を設定できます。
農地の一部を宅地にしたい場合、分筆してから宅地に変更すれば住宅を建築することが可能です。
ただし、農地法の転用許可などが必要になるため、事前に確認しましょう。
地目が適切に変更されれば、建物の建築や事業用地としての活用が可能になり、土地の流動性も高まります。
こうした手続きによって、土地の有効活用と資産価値の向上が期待できます。

分筆による税金への影響

分筆には節税につながる場合と、税負担が増える場合の両面があります。
土地を分筆して、形状や接道状況が変わり評価額が下がれば、固定資産税や相続税が軽減されることがあります。
ただし、分筆後に建物のない区画を作ると、住宅用地の特例が適用されなくなる可能性もあるため注意が必要です。
一方、区画数が増えることで、管理コストや将来的な譲渡に伴う税金が変化する場合もあります。
小規模住宅用地の軽減措置が受けられなくなる可能性があるため、計画的に進めることが大切です。

分筆後の土地の使い勝手と市場価値

分筆は土地の活用幅を広げますが、区画の面積や形状によっては市場価値を下げてしまう場合もあります。
建築基準法の接道義務を満たさない区画が生じれば、建築に制限がかかり利用価値が下がります。
さらに、区画が不整形になると建物の配置や庭の設計が難しくなるため、購入希望者のニーズに合わず売りづらくなることも考えられるでしょう。
また、分筆後に確保できる駐車スペースや庭の広さが減ると、生活の利便性が損なわれるケースも少なくありません。
そのため、専門家のアドバイスを受けながら、計画的に分筆することが大切です。

分筆の方法について

分筆の方法について

土地の分筆を適切におこなうことで、利用価値や売却の可能性を高められます。
たとえば、親から受け継いだ広い敷地を数区画に分けて売却することで、より多くの買い手を募ることも可能です。
ここでは、土地家屋調査士への依頼、事前調査、現地調査・確定測量までの流れを説明します。

土地家屋調査士に依頼

分筆には正確な測量や法的手続きが必要となるため、まずは土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。
国家資格を持つ専門家が、測量から登記までをサポートしてくれるので、手続きミスやトラブルを防ぎやすくなります。
依頼時は、土地の所在地や面積、利用状況などの情報を提供し、手続きの流れや費用を確認しましょう。
費用は土地の広さや形状、地域で変わりますが、一般的に数十万円程度かかることが多いです。
分筆後の活用プランに合わせて追加のサービスを提案してくれるケースもあるため、相談してみるとよいでしょう。

事前調査

土地家屋調査士に依頼すると、まず土地の現状や法的状況を把握するための事前調査がおこなわれます。
登記簿や公図、地積測量図を確認し、境界や面積、地目を調べることで、分筆の計画を立てる基礎情報を得られます。
併せて、用途地域や建築基準法上の規制もチェックし、分筆後の土地利用や売却に支障がないかを確認することが大切です。
必要に応じて行政機関への問い合わせをおこない、区域区分や建築条件詳細に調べておくと安心です。

現地調査・確定測量をおこなう

事前調査の後は、実際に境界線を確定するための現地調査と、確定測量をおこないます。
土地家屋調査士が現地を確認し、隣地所有者の立ち会いのもとで境界を定めます。
続いて、測量機器を使って正確な面積や形状を把握し、分筆後の区画を確定させるのです。
その後、境界標を設置し、測量結果や境界確認書などを準備して法務局に分筆登記を申請します。
登記が完了すると、新たな地番が付与され、独立した土地として扱われます。
こうした一連の手続きには専門的な知識が求められるため、信頼できる土地家屋調査士や不動産会社に相談するようにしましょう。

まとめ

不動産売却時に分筆をおこなうと、土地の利用価値が向上し、売却しやすくなる可能性があります。
分筆には登記手続きが必要で、地目変更や税金の影響を考慮しながら計画的に進めることが重要です。
手続きは土地家屋調査士に依頼し、事前調査や測量を適切におこなうことで、円滑な売却につなげましょう。