不動産購入時の重要事項説明とは?チェックポイントと注意点を解説

不動産購入時の重要事項説明とは?チェックポイントと注意点を解説

マイホームを買いたいけれど、どういった点に注意しないといけないかが分からず、不安に感じている方も少なくないのではないでしょうか。
宅地建物取引業法では、そんな専門知識を持たない買主を保護するために、契約内容を分かりやすく説明する義務が設けられています。
まずは、重要事項説明とは何かをお伝えしたうえで、不動産を購入するときに押さえるべきポイントと注意点について解説します。

不動産購入時の重要事項説明とは

不動産購入時の重要事項説明とは

重要事項説明とは、売買契約を締結する前に契約内容を分かりやすく説明する作業です。
多くの方にとって、マイホームの購入は一生に一度になるからこそ、購入後に後悔しないように契約書の内容は正しく理解する必要があります。
ここでは、重要事項説明の特徴について解説します。

宅地建物取引業法で義務化されている

マイホームの購入は数千万円単位になるものの、売買契約書には専門用語が多用されているので、売買取引に慣れていない方が完璧に理解するのは困難です。
そこで、宅地建物取引業法では、専門知識を持たない買主を保護する目的で重要事項説明を義務化しました。
マイホームを購入する買主に限らず、マイホームを手放す売主も専門知識を持たないケースが多いです。
個人間の取引では、売買契約書に記載されていない内容の欠陥や不具合が発覚したときに、買主は売主に対して損害賠償請求ができる契約不適合責任が付帯します。
つまり、売主と買主の間で契約内容を明確にする作業は、結果的に売主を保護する役割も持ち合わせています。

宅地建物取引士による説明

重要事項説明は、売買契約を締結する前までに済ませます。
宅地建物取引士と呼ばれる専門知識を持った方が、契約書の内容を記載した書面を作成して、買主に対して物件に関する説明をおこないます。
この重要事項説明は、一定の要件を満たすことで、オンラインで受けられますが、取引金額の大きさなどを考慮し、対面を推奨する仲介業者も多いようです。
一通りの説明が終わり、買主からの疑問点や不安点が解決できたら、押印と署名をして完了です。

買主の心構え

売買契約書に記載されている内容は膨大で、一度目を通したり話を聞いたりしただけで理解するのは難しいかもしれません。
そのため、宅地建物取引士から重要事項説明を受ける前までに、売買契約書の内容をまとめた書面を交付されるので、よく読み込んで分からないところはチェックしましょう。
説明を受けて理解できなければ、直接宅地建物取引士に質問をして、納得したうえで署名と押印をするようにしてください。
売買契約前まではキャンセルできますが、売買契約後はキャンセル料が発生するので、内容を正しく理解したうえで契約するかどうかを判断しなければなりません。
また、契約内容が多岐にわたる場合は、家族や信頼できる知人と一緒に確認することで、見落としを防ぎやすくなります。
たとえば、住宅ローンを利用するなら返済計画を家族と話し合い、契約後の負担や今後のライフプランを共有しておくことも大切です。
このように、複数の視点でじっくり検討することによって、購入後に後悔するのを防ぐ助けになります。

不動産購入時の重要事項説明におけるチェックポイント

不動産購入時の重要事項説明におけるチェックポイント

不動産を購入するときには、売買契約書の内容が適切かどうかの確認が必要です。
しかし、専門用語が多用されており、目を通しただけでは理解できない項目も多いため、宅地建物取引士からの説明を受けるときに理解できるように準備しましょう。
ここでは、重要事項説明のチェックポイントについて解説します。

物件の情報

まずは、取引する不動産の所在地・面積・構造などの数字に間違いがないかを確認します。
謄本・構図・測量図などのほか、物件状況報告書や付帯設備表が用意されるので、その内容に不審点がないかどうかを見なければなりません。
中古物件の取引では、経年劣化による欠陥や不具合がある可能性が高いので、許容できる範囲かどうかが購入の決め手になるでしょう。
初歩的な項目にはなりますが、長期的に住む家を選ぶうえでは、もっとも重要で妥協できないポイントです。

取引に影響する権利の有無

売買取引を阻害する恐れのある権利問題として、抵当権・根抵当権・地上権・借地権・地役権などが挙げられます。
なかでも、住宅ローンを組むときに金融機関が設定する抵当権は、完済した後に債務者自身が抹消手続きをしなければ、いつまでも設定されたままになります。
そのため、購入する不動産の抵当権が抹消されているかを確認しましょう。

災害警戒区域

日本は、地震・津波・台風などの自然災害が多く発生する地域でもあるので、購入する不動産の被災リスクにも注意が必要です。
各地域の自治体が公表しているハザードマップを見れば、自然災害に巻き込まれるリスクや避難場所などをまとめて確認できるので、長期的に住む場所として適しているかを判断できます。

解約条件

売買契約を締結した後の解約は、売主や仲介業者に迷惑がかかるので避けなくてはなりません。
しかし、どうしても売買契約したあとに解約しなければならないケースも想定したうえで、契約違反によるペナルティについてチェックしておきましょう。
一般的には、売買代金の10〜20%が違約金として設定されていますが、取引額に応じて明確な違約金を算出しておくと安心です。
売主都合で売買契約を破棄するケースもゼロではないので、その場合はどのように対処してもらえるのかも同時に確認しておきましょう。
また、重要事項説明の内容を十分に確認しなかったことで見落としがあった場合、引き渡し後に予想外の修繕費用がかかったり、契約不備をめぐって売主とトラブルになったりするかもしれません。
これらを未然に防ぐためにも、重要事項説明書に記載されている一つひとつの項目について、慎重にチェックして理解する姿勢が求められます。

不動産購入時の重要事項説明を受けるときの注意点

不動産購入時の重要事項説明を受けるときの注意点

トラブルなく不動産を購入するためには、買主として売買契約の内容を正しく理解する必要があります。
正しく理解するためには、宅地建物取引士から説明を受ける前から準備や心構えが必要です。
ここでは、重要事項説明を受けるときの注意点について解説します。

説明を受ける前にコピーをもらう

宅地建物取引士からの説明は、売買契約日におこなわれるケースが一般的です。
しかし、一度の説明で契約内容をすべて理解するのは難しいため、仲介業者の担当者から事前に書面のコピーを受け取っておきましょう。
当日を迎えるまでに書面の内容を読み込み、分からない部分にチェックを入れておくと、当日の説明を受けるタイミングで質問できるので安心です。

変更があれば書面を再発行してもらう

宅地建物取引士からの説明を受けて納得できない条件があったり、単純に書面の記載内容に不備があったりした場合、話し合いをしたうえで契約内容を変更する場合があります。
契約内容が変更になったとき、ボールペンでの二重線・修正テープでの訂正は厳禁です。
あとから書き替えたといわれても、それを否定する証明ができないので、引き渡し後のトラブルを対応してもらえなくなる恐れがあるからです。
もしも、契約内容に変更点があれば、その時点で書面をゼロから作り直してもらいましょう。

説明を受けてからサインする

とにかく早く売買契約を成立させようと、宅地建物取引士からの説明を省く可能性がありますが、内容を理解しないままサインをしてはいけません。
売買契約の内容を説明せずに契約に進む行為は、法律違反であり、悪質性が高いです。
必ず売買契約の内容をすべて説明してもらい、買主の疑問がすべて晴れた状態で書面の押印・署名をして本契約に進みましょう。

まとめ

不動産を購入するときは、契約内容を正しく理解するために宅地建物取引士による重要事項説明がおこなわれます。
何ページにもわたる書面を用いて説明されますが、物件や条件に関する認識の不一致が生じないようにポイントを押さえながらの確認が必要です。
また、悪質業者の営業に引っかからないためにも、すべての記載内容に同意したうえでサインをしましょう。